家を建てる 屋根裏エアコンの遠隔制御

2007年8月 Penguin!!

我が家の弱点

総合的に、設計も施工も、うまく言ったという実感があります。しかし、やはり弱点はあります。

日本では、もはや冷房は必需品です。エネルギーの節で書いたように、床暖と共用のエアコンを設備します。なんと、その室内機は、屋根裏に取り付け、冷気を全館に配給します。私は、初めてこのアイデア・実装に接したときに、まさに、我が意を得たり、と気に入りました。部屋ごとの局所冷却では寒暖の差が大きく不快、断熱が良ければ少ないエアコンでも家中を冷やせるはず、どこから冷やすかと言えば、屋根裏を冷やせば頭寒足熱で全部冷える、そうすれば各部屋に醜いエアコンを取り付ける必要もない。いいことづくめなのですが、このエアコン室内機を制御するリモコンの赤外光が屋根裏には届かないのです。

冬の床暖の制御をする端末は、有線で1階の壁に取り付けられているのですが、冷房運転の制御には、赤外線リモコンを室内機に向けて使わなければなりません。その室内機(吹き出し口)が屋根裏なので、冷房の起動停止、温度調整は、天井から階段を下ろし、それを上って屋根裏を這うようにして室内機に近づいてリモコンを操作する必要があります。ま、うまくやれば、階段を半分上って頭を出したところでリモコンを使う手もありますけどね。

USB接続の赤外線リモコン

屋根裏には、幸い、ネットワーク配線を飛ばしています。だから、PC接続の赤外線リモコンから室内機を制御できる可能性があります。Webを検索すると、フォトダイオードと赤外線LEDを使って自作する人もいるようですが、安価なので、バッファロー製のPC-OP-RS1というのを使うことにしました(1万円以下)。メーカーの情報はこれ。インタネット通販で、この機種を手に入れるのは簡単でした(2007年2月)。あまり売れていないようなので、廃盤になる可能性も高いですね。

問題は、これをLinuxから制御できるかどうかです。別にWindowsでもよいのかもしれませんが、アイデアとしては、現在使用中のVIA/EPIA-C3を使ったサーバーを引退させて新しくPentium-Mを使った高性能サーバーをしつらえる、古いEPIAを屋根裏に上げて、リモコンサーバーに仕立てようというものです。本サーバーからUSBケーブルだけを伸ばす手もありそうですが、屋根裏に行っているケーブルは、Ethernetしかありません。そのためにEPIAサーバーを24時間運転させるのは、いくら低電力とは言え、無駄が多いことは自明です。本サーバーのバックアップ用と言うことにしておいてもよいですし、暑い7−9月限定ならそれほど財布も傷みません。(30Wくらいのものです)

Linuxで動作させるためには、USB接続のシリアルドライバが必要です。PC-OP-RS1、 千石浩明氏の日記には、Linuxにリモコンをつなぐ方法、テストプログラム、学習プログラムが出ています。これでなんとかできそうです。

もう一つの問題は、この製品で我が家のエアコンのリモコンと同じ働きがさせられるか、つまり、リモコンのプロトコルをそっくりまねできるか?コンピュータ制御学習リモコンに出ているように、世の中には何種類かのプロトコルがあり、標準にしたがったものと、独自プロトコルがあるようです。チョーフのリモコンがどちらなのか、やってみなければわかりません。

リモコン制御

LinuxのUSBドライバとしてPC-OP-RS1がシリアルインタフェースとして認識されるようにして、学習プログラムを走らせます。まずは、ソニーのDVDデッキのリモコンの光を照射してパターンを記憶させます。それを今度は送信プログラムから発射させると、DVDデッキが動きました。ソフトウェアは大丈夫そうなので、エアコン室内機の備え付けられた屋根裏に、Linuxマシン(古いEPIAサーバ)を持ち上げ、ネットワークにつないで立ち上げます。

エアコン室内機の前に取り付けた、PC-OP-RS1の発光部。銀色のパイプは、冷気を各室に導くエアダクト。右上は、エアコン室内機の赤外線受光部。
二つあるのは意味なし。PC-OP-RS1には、全部で4チャネルの受光・発光器を取り付けられるが、二つずつはケーブルを共用するのであまり離せない。他に使わないのでいっしょにしてある。
屋根裏に上げたサーバー。よく冷えて快調か?

リモコンのボタンは、電源、設定温度上げる、温度下げる、運転切り替え(冷房、ドライ、送風)、風向き(ルーバ)、入り、切りの予約時間設定などがあります。これらのボタンを押すと、温度を1℃上げよ、ドライ運転にせよ、などの情報が室内機に届くのかと思ったのですが、ちょっと違うようです。リモコンは、運転モード、設定温度、風向モード、タイマー設定などの情報をすべてリモコン内に持っていて、ボタンを押すと、対応するパラメータを変更しますが、そのパラメータだけを室内機に送るのではなく、すべてのパラメータを一括して送っているようです。ボタンを押したときにリモコンと室内機が赤外線で接続できないと、両者の管理情報には食い違いが生じます。それで、一回の操作ですべてのパラメータを送ってステータスをそろえるようにしているのでしょう。

ですから、学習しておくべき赤外線パターンとは、電源切りの他、適当な温度設定です。同じ27℃に設定するのに、上矢印と下矢印で、温度上昇、下降の2種類がありますが、結局出ている赤外線パターンは同じなのだということです。そうやって、数種類のパターンを学習させ、コマンドを送ってみました。うーん、2回に1回くらいしか反応しません。よくわかりません。

CGI

サーバーにCGIを作り込みます。リモコンは、2台目のサーバーにつなぎ、屋根裏に持ち上げます。httpdを立ち上げ、コマンドに応じて適切なリモコン送信プログラムを走らせるCGIを組みます。メインサーバーから、apacheのProxyPassディレクティブを使って、フォワードしておきます。

問題は、ときどき誤動作というか、赤外線を打ったのにエアコンが反応しないことです。2階のホールでパソコンを操作するときは、ピッという反応音を聞いて、確かめられます。1階ではわからないので、しょうがなく数回同じコマンドを打ってもらいます。赤外線が弱いという説と、エアコンのコマンドは複雑で、プロトコルが異なるという説があります。

Rasberry Pi

EPIAのサーバーは、省電力タイプではあるが、冷却用に小さなファンが回る。小さいながらもディスクが必要で、これも回転部分があるので、5年もたつと寿命が心配になる。そろそろ暑くなったからエアコンを入れようか、と思ってサーバーを立ち上げようにもエラーが出るというのは考えたくない。それで、まず、ディスクをSSDにしてみた。小さいので足りるので、64GBを付けた。おっと、問題は、パラレルIDEのSSDを選ばないといけないこと。EPIA-VIAには、パラレルIDEしかつかないが、最近は、シリアルSATAばかりになっている。

1.5年ほど、SSDで救命したが、さらなる本格的延命をねらって、rasberry piに交換、2013年10月。Linuxがグレードアップしている。EPIAは、Fedoraで2.4であろう。rasberry piは、debian のwheezyであるが、3.6、これまた中途半端(時代は、3.10らしい).