つくば道を自転車で上る
2006.10

Penguin!! 松井俊浩

つくば道

つくば道というのは、つくば地方の道のことではなく、固有名詞で、そういう名前の特定の道があります。筑波山の南西の麓、県道139号線の一部です。

江戸時代、三代将軍徳川家光が、筑波山神社に伽藍(知足院中禅寺)を再建するため資材運搬用の道路として整備したのが起源。現在は神社の隣に、藤代町の民家を移設したお寺が残っていますが、当時は、神社の中にお寺を造るというでたらめさ。江戸城から見て、筑波山は東北の方向で、鬼門に当たり(鬼門というのは、古代中国が匈奴を恐れて呼んだ方向で、都から見て彼らが出現する方向=東北のこと)、家光は、盛んにいろいろな物を神社に与えて、立派な社を建設させています。再建後、家光は関係諸村の人たちを街道沿いに住まわせ、中禅寺側から一―六丁目に区割りした。これらは中禅寺の門前町として栄え、参拝客目当ての旅館や土産品などが並び、にぎわった。

クリックすると大きな地図が出ます。


つくば道は今も石垣を積んできちんと区割りされた家が並び、道しるべや土蔵造りの家並みなど、当時の面影が残っている。日本の道百選に選ばれています。茨城県では、つくば道と、つくば市内に1970年代後半に建設された東大通りの二つが選ばれています。

2006年10月14日に、検査のため某病院の待合室で地域の冊子を読んでこの道を知りました。興味がわいて次の週の21日に、上からこの道に突入しました。朝日峠を登り、表筑波スカイラインをえっちらおっちらと自転車こいで、風返し峠。そこから筑波山神社方面に下ります。風返し峠付近ではびっくりしましたよ。ままちゃりで峠を登る高校生がいる!すごい!その後ろに、赤い顔をして自転車を押す二人の高校生がいる!君たちはえらいよ。わしはうれしい。神社側からつくば道への入り口がわかりにくい。ケーブルカー入り口のバス停と並び立つ歩道橋が目印ですが、そんな著名な道であるとは思えないたたずまいです。

まず、上から突入したのは正解でした。とにかく、傾斜が急。下から上るとしたら、ギアの低いマウンテンバイクでないと難しそうです。通ってみると、なるほど、おもしろい道。急坂にも人の生活がある。普通の峠道が3キロほどかけてぐにゃぐにゃと旋回しながら上る250メートルほどを、つくば道は1キロほどで直登する。だから勾配は、15-20%くらいある。

こちらに自動車でつくば道(県道139号)を登った記録があります。ずいぶんと興奮していらっしゃいます。自転車では興奮する必要はありません。

北条付近

次の週、2006/10/28、自転車で登ってみることにしました。傾斜は急ですが、標高差は、200メートルほどのことです。

入り口は、北条の目抜き通りにあります。北条と言えば、自転車乗りには、不動峠の入り口の北条大池が有名です。皇室献上米の北条米の産地でもあります。

これよりつくば道、という石碑が建っています。徳川初期からですから、400年ほどたっています。つくばとひらがなになっているのがおもしろい。つくば市は、ひらがな表記の市名として有名ですが、1987年頃の合併まで、つくばは筑波であって、ひらがなで書くのは珍しいことでした。徳川時代につくば道とひらがな表記にしたのは、庶民への開放を強調したかったのかもしれません。「にし」とか「つちうら」もひらがなで書かれています。(石に画数の多い字を彫るのが難しかったのでしょう)

さて、ここから数百メートルのつくば道は、ほとんど平坦。
神郡の入り口に立つつくば道近辺の案内板。
神郡に入ってすぐ右側(東側)にある普門寺。
普門寺の本堂とお庭。近くに小田城址がありますが、普門寺は小田氏の寺だったそうです。(2009年にこの本堂は、焼失しました)
普門寺の門。赤門?
またつくば道を北に進むと赤い板塀の家。うーん、普門寺の門と関係あるのかな?

正面に筑波山がそびえます。
古い民家。白壁の土蔵は、昭和50年くらいまではよく見かけたが、このごろは珍しい。格子戸もよく残っていますね。
立派な門のある民家。門と言うのだろうか。部屋になっていますね。昔は、厩だったりしたのかも。郵便受けがものがなしい。
筑波山が近づく。つくば道は両側に農道を従えている。電気の架線がきたない。
そう珍しくもないですが、立派な民家。
だんだん坂が現れる。石垣作りの家が多くなる。

つくば道の本道

臼井というところに鳥居があります。標高5-60メートル。路面はアスファルトから切り込みの入ったコンクリートに代わって、傾斜がずっと険しくなります。

臼井の鳥居を上から見下ろしたところ。カメラの露出モードがマニュアルになってしまったのに気づかずに撮ったので白飛びが激しく、後から補正しましたが色バランスがくずれています。ごめんなさい。
この塀がなければ日本の道百選には選ばれなかったであろうという、立派な塀。
おとぎの国のお城の塀です、と言っても通用しそう。塀に屋根を付けるというのもすごい手間ですね。傾斜にあわせて斜めの塀というわけにもいかないのだろうね。
下を見ると足がすくみます。15-25%の傾斜が1000メートルほど続いて220メートルまで上昇します。

石垣と木の塀と漆喰壁の三つ組みが美しい。相変わらず傾斜は急。
土蔵がまた素晴らしい。
こうやって撮影すると、平地の家と全く変わりません。急坂に建っているとは思えない立派な家です。
つくば道の終点と言って良いでしょう。この道は県道42号線。ホントは神社までいくべきですが、ここで道の雰囲気が変わるので、実質的にここまで(ほんとは、早く帰って寺内タケシのコンサートに行く予定)。

さんざん苦労して坂を登ったあげくに、また歩道橋があるが、こんな狭い通りは歩いて渡るでしょうに。以前は通行量が多かったのでしょうか。TXができて混雑が増したようなことを聞きました。毎週土曜日の朝に来ていますが、たいしたお客さんの数ではないですよ。
下を見下ろす。道は狭く、すぐに急になる。ときどき自動車が行き交いますが、すれ違いは不可能。坂道発進が下手だと大変なことになる。

結論

標高差220-30=190メートルに過ぎないのですが、一気に登ることはできませんでした。写真を撮るためもありますが、50メートル登っては一休み。正味10分ほどで上れます。Passoの一番小さい前ギアは、28Tで、後ろの1速が25。でも、ギア比は関係ありません。心臓がばこばこです。ATPが切れて力が入りません。止まって一分ほどはぁはぁ言っていると、力が回復します。30秒ほど登るとまた枯渇します。筋力トレーニングにはなりますが、持久力にはなりません。不動峠を13,4分で上るくらいの負荷と推測。

つくば道は、歩いて登った方が楽しいと思われます。実際、歩いて登る観光客や登山家?を10人くらい見かけました。幼稚園くらいの子供も登っています。お母さんの方がはぁはぁ言ってついていきます。ここで暮らす人は大変でしょう。登り切ったところに、筑波第一小学校があります(廃校になってました)。ここに通う子供はみんな健脚でしょうね。いい景色です。

午後から用があるので(何度も言いますがコンサートです)、あわてて下りました。峠に登った後はダウンヒルでかっ飛ばすのが楽しみですが、つくば道ではそれはできません。ブレーキを握りしめてゆっくり下ります。平地に下りても、足には力が入りませんでした。