アマチュア無線2級を受験


2015-Dec-10


アマチュア根性再燃

2015年、仕事が暇になったので、情報処理技術者試験、情報セキュリティスペシャリストを受験した。それなりの手応えを感じて、「私は試験が好きなんではないだろうか?」と思い出した。学生時代は、試験に明け暮れた。研究者生活ってのも、勉強して、実験して、論文書いて、査読を通ったり落ちたりするのは、試験みたいなものだ。それが、研究の管理が仕事になってから、やりがいがなくなっていたのだろう。情報セキュリティスペシャリストは、それなりの難関で、価値も高い。次は、エンベッディッドシステムスペシャリストにも挑戦しよう。

しかし、そこで、アマチュア無線の資格を思い出したのは、昔の試験に明け暮れた時期の情熱を思い出したからである。

中学生で電話級をとったものの(当時の試験は、今の4級より難しかったと思うのは欲目か?)、諸般の事情で開局には至らなかった。もっと大事な試験があったからだが、開局には、金もかかるし、シャックやらアンテナやらのスペースも必要で、居候の学生には難しかったのだ。それに、電話級なんて、という思いもあった。上級、すなわち1,2級の資格をとってこそ一人前だと思っていた。なにせ、電話級は、上限が10Wだが、2級は、100W、1級は、500Wまで出せる。DX(海外との交信)には、10Wはあまりに非力である。それで、大学生の時には、上級国試を受けるべく、その問題集も買っていた。国試というのは、国家試験のことである。しかし、上級は、難しかった。モールス符号を使った通信ができることを示さねばならないからである。電話級のすぐ上の電信級で、毎分欧文アルファベット25文字、2級は、45文字、1級は60文字の上に和文を使えなければならなかった。これがむずかしい。その上、人より早くITの世界に踏み入れた自分には、モールス電信は、否定すべき通信法だった。モールスは、一種のデジタル通信だが、まるで機械語を判読するように人力で符号化、解読している。今思えば、趣味なんだからいいだろ(いや、SNが低くても遠くまで届くからいいだろ)、ということなのだが、簡単なことをわざわざ難しくして気取っているような気がした。

そんなことを言えば、21世紀の携帯電話が普及した世界において、一般人には、アマチュア無線などばかげた趣味なのは間違いない。地上波デジタルの今日、最先端に挑戦するはずのアマチュアがアナログ電波通信という化石技術にしがみつくのは滑稽かも知れない。だけど、化石集めという立派な趣味もある(ちょっと論理が違う)。なんだか、携帯電話の技術が進めば進むほど、のんびり無線で話をするのも味があると思えてくる。アマチュア無線の衰退は、携帯電話の普及と符合している。無線を会話のツールと考える人には、携帯電話やSkypeの方が魅力的である。そういう人がアマ無線から遠ざかっていったから、平成の初めは100万局以上あったアマ無線局の数は40数万まで減った。局免を持っていても、お空に出て来るとは限らない。アクティビティも下がって、バンドはがらがらである。90年頃は、チャネルを取り合って罵り合いまでしていたのに、今はのんびりしたものだ。

そこに、上級アマ無線の国試から、モールス通信術の試験がなくなったことを聞いたのだ。さもありなん、だけど寂しいというのが率直な感想。そのうえ、2級は200W、1級は1000Wまで増強されているらしい。知らない間に3.8, 10, 18, 24MHzなどハムバンドが増え、なんと7MHzは100KHzから200KHzにバンド幅が倍増している!しめしめ、そらなら受けてみようじゃないか。

試験を申し込む

「アマ無線、試験」で検索すると、日本無線協会というのが、年に3回、試験を実施していることがわかった。あ、無線をやっている人は、あんまり自分たちのことを「ハム」とは呼びません。アマチュアとか無線とか言うことが多いと思う。ハムショップとは言うけれどね。10月に試験を思い立った日は、申し込み締め切りの3日前。すぐに申し込めば、12月の試験が受けられて、受かれば2月には100Wで出られるかも知れない。試験の申し込みは、Webでできる。今なら当たり前か。

この当たり前が、そうでもなかった。名前や生年月日、Emailアドレスなどを入れて申し込むと、受験費用を振り込めと言うメールが届く。ところが、振込先銀行が書いてないのだ。日本無線協会に電話して尋ねるが、なかなからちがあかない。結局、「ゆうちょ」銀行だと言うことがわかった。それを書いておいてくれよ。ははん、総務省が管轄官庁なのだから、ゆうちょなのね。

1級にするか、2級にするかは、ちょっと悩む。どっちも試験の難易度は同じ程度だと言うことは、後で気づいた。受験料が2級の方が1,000円ほど安い。両者の差は、出力しかないのだが、100W以上の無線機はほとんどないし、高いので手が出ない。リニアアンプを買うか作るという手もあるが、200W以上の機械は、認定が出ないから、開局審査がとんでもなくめんどい。ケーブルテレビが普及したから、TVIの心配は小さいかも知れないが、地域住民の同意が必要。1kWを送信するには、最低2kWの電気が必要。下手すると200V電源まで必要。というわけで、無駄な1級はやめて2級にする。

局の再免許

試験勉強の前に、局免の再免許も申請する。アンテナが張れるか、昔の機械が使えるか、バンドの状態はどんなふうか、調べておかないと後悔するかもしれない。20年の間にだいぶ変わったようだ。

屋根裏部屋に上がって、昔のリグを降ろしてくる。電源を入れると、懐かしいノイズが聞こえてくる。送信ボタンを押すと、リレーがカチリと言って、メーターが触れるから、送信回路も生きているようだ。バンド切り替えスイッチなどがチャタリングを起こすが、30年前の機械が動くって、すごいぞ!

総務省、局免申請で探すと、オンラインの局免申請のページが出てきた。まずEmailアドレスを登録して、IDとパスワードを取得する。これらは郵送されてくる。ここにも総務省らしさが。その後、割り当てを希望する周波数、電波形式、電力などをWebフォームに入力し、無線機を登録する。数日するとEmailが来て、認定番号が違うからやり直せと書いてある。30年前の機械のJARL保証番号は認識されないらしい。その保証を取るには、TSSかJARDに数千円払わないといけない。いつまで使えるかわからない機械に、これはばからしい。

所有しているリグは、3台。FT-203という145MHz-F3 (現代風に言えば、F3E)の3Wハンディ機、TM-701という145/435MHz-10Wモービル機、TS670というHFと50MHzの10Wポータブル機。このうち、一番だめそうなのが、ニッカド電池が死んでいて、ボリュームが断線しているらしいFT203。こいつは捨てることにして、新しいハンディ機、TH-F7というのを買う。小さいが、145/435の2バンドで、5W出る。こんな小さい機械で5W出せば、あっという間に電池が消耗しそうだが、lowパワーとextra lowパワーに切り替えることができる。ワイドバンドレシーバー機能もあって、HFのSSBとかも聞けるようだ。

古い機械は、使わないことにして、新しく買ったVHF/UHFのハンディ機だけを登録する。すると、1週間ほどして、OKのEmailが来て、登録料をPayEasyで支払えと言ってきた。コンビニから支払えるようで支払えず、苦労したが、結局、ゆうちょからPayEasyに送金できることがわかった。やっぱりゆうちょかよ。それから2週間ほどして、局免が届いた。

これで、ハンディ機から電波が出せるわけだが、とんと聞こえてこない。標準の15センチほどのホイップアンテナではろくに聞こえるわけがないと思うが、それにしても聞こえない。本当にアンテナの問題ならグレードアップすればよいが、出ている局がないのだとすると、グレードアップの意味もない。。。週末になったら、山の上に自転車で持って上がって、入りを調べてこよう。

このITの時代、総務省は、無線局の検索サイトを用意してくれている。地域名、コールサインの一部などで検索できる。コールサインは、JA, JH, JR, JE、、、JQ, JS, 7J,,, と、1エリア(関東)と2,3エリア(中部、近畿)では、日本に割り当てられたすべての番号を割り当て尽くしたので、失効したコールサインが再割り当てされている。今(2015-11)、1エリアではJIまで来ているようだ。私の古いコールサインJQ1QNWは再割り当てされずに残っているので、その復活を依頼しておく。あんまりいいコールサインだとは思わないが、これで作ったQSLカードが残っているから、再利用しようと思う。住所が新治郡桜村になっているのも、歴史を感じさせていいじゃないか。ところで、この検索サイトは何のためにあるかと言えば、違法無線局を発見しやすくして、報告させるためではないか?登録されている周波数や出力と違う電波が出ていれば、ダウトなわけだ。この局は、1アマだとかもわかるわけです。

国試の勉強

今は、アマ無線の国試情報がWebに載ってて便利ですね。過去の問題、その解説が全部出ている。受験体験記もたくさんあるが、みなさん、年配の方なのがおかしい。若い頃やっていたが、老後の生活の入り口に来たので上級試験に挑戦したという人がたくさんいる。自分と同じ。

とりあえず、1,2級の過去問を5回分ほどダウンロードした。基本的に全部選択式なので、わからなくてもどれか印を付ければ、25%ほどの確率で正答できる。合格ラインは70%らしいから、簡単に合格できるんじゃないのか?

一番最近の1,2級の問題を解いてみる。無線工学はまだしも、法規は忘れているし、国際条約のことなどわからない。無線工学は70%、法規は60-65%くらいのできで、不合格! 心を入れ替えて勉強しようかと思うが、教科書もないので、過去問を引き続き解く。2回目は、平均75%くらいになったが、81%と69%という組み合わせだと不合格になる。3回目で、どれもだいたい80-85%とれるようになった。なんだ、過去と同じ問題が出ると言うことじゃないか。1級と2級は、ほとんど差がない。難しいはずの1級の方が高得点なこともあった。基本的に、簡単なお仕事です。

一番確実にとれるのは、モールス符号の問題だというのは意外。耳でなく目で符号を見ることができれば、間違うことはない。まさに、百聞は一見にしかずということか。モールス符号の3-4問は間違いようがない。あと、Q符号も簡単な部類だろうが、QSW,QSU, QSYの違いは、今もよくわかっていなかったりする。

無線工学の最初は、電気量や静電容量、Ωの法則が出て来る。これらは、まず間違いようがない。次に、LC回路が出て来る。ω=1/sqrt(LC)と、Q=ωL/R, Q=1/ωCR とかを覚えておく必要がある。続いて電離層の電波伝播、半導体素子の性質、送受信機の構成、変調度の空中線電力、アンテナの構造と性質、電流、電圧やSWLの測定などが2-3問ずつ出る。

最後まで、覚えきれなかったのが、新しい電波形式。昔は、A1-A3、A3J、F3位をわかっていればよかったのだが、今は電波形式が増えた上に、アマチュアがいろんな電波形式を使うようになった。もっとも、以前からFMのステレオ放送とかTV多重放送とかはあったのだが、アマチュアは使わないから気にしていなかっただけ。ファクシミリとかRTTYとか、デジタル通信が増えている。昔のF3は、F3E、A3Jは、J3Eになるようだ。

さらに4回目を解いているところで試験当日となった。

試験当日

2級の試験日は、2015年12月6日(日)。前日は、1級の試験日だった。7時過ぎの電車で、東京に向かい、大江戸線の勝どきを目指す。9時半から法規の試験が始まるが、その15分前に着席していなければならない。勝どき駅から徒歩で10分ほどのところに試験場がある。勝どき駅のある晴海は、埋め立て地なのだろうが、道が広く、超高層ビルも新しくて、スケールが大きい。日曜だからか、道路も空いていて、広々した感じがとても良い。隅田川というか、運河もきれいで、遊覧船も出るようだ。

   
   晴海トリトンという3棟が連なった超高層のオフィスビルが立派。
 ところが、この日本無線協会は、エマチュー(江間忠)貸しビルの一角にあり、この辺りの水準からすると、残念なレベル。
 なぜか入り口には、大鹿の頭が。江間忠の社長の趣味なのだろうか。
 入っても、およそ試験場とは思われない。受験生は、階段で3階まで上がるべし。
 2階には、日本無線協会のオフィスがあるらしい。
 試験が行われる3階のろうか。奥の左側が一番大きい1号室。目の前が2号室、左の陰に3号室がある。私は、3号室で受験。
こちらが3号室。
 
 試験前。9時30分に試験スタートだが、説明があるので9:15までに着席するように言われている。このときは9:12ですね。飲食は禁止と書かれているが、撮影禁止とは書かれていない。
ただいま受験中。 

3号室は、50人くらいは入れるようで、実際、試験番号で見ると50人が入るはずになっている。ところが、試験開始時の人数は、30人ほどで、20人は欠席だった。受験者の年齢は、おそらく、55歳くらいが平均年齢ではないか。中学生くらいの子供が一人、こにも少子高齢化が忍び寄っています。YLさん、XYLさんはゼロ。隣の部屋にはいたみたいだが、情けないくらいの男性社会。1号室は、150人くらいが定員で、おそらくそのうち100人くらいが来ているのだろう。結局、東京試験場での2級の受験者は、合わせて130人くらい。

試験本番

9:30から法規の試験が始まる。12:00まで2時間半もあるが、10:30になったら退出しても良い。問題数は30問なので、1問に2分ずつかけても1時間で終わる。普通は、1分でしょう。私は、万全を期してゆっくり確認しながら解いていたら、65分くらいで解き終わり、さらに見直し確認をしたので、退出したのは10:45くらいでした。2/3位は、まず間違いないと思う回答が出来、1/3はちょっと自信ないというレベル。1-2問は、見たことのない条文で、あてずっぽというか、常識で解くことになりました。まあ、常識を使って考えれば、見たことなくても、4択問題は2択になります。そうすれば、50%は当たります。

無線工学の試験は、1:00から2時間、25問。こっちは、まあ自信がありましたが、わからないのが1問。グランドプレーンアンテナのインピーダンスはどんだけか。

答え合わせ

日曜日が試験で、火曜日の夜に回答が日本無線協会のWebに掲載される。私は、水曜日の昼休みに答え合わせをしました。結果は、法規が95.3%、無線工学が87.2%のできで、合格のはず。やったー! 自信があった無線工学の方が低かったのはがっかりだけど、法規ができすぎでしょ。

無線工学で間違えたのは、共振回路のリアクタンスのグラフ。共振周波数で無限大になるグラフを単純に選んだが、間違いだったようだ。考えてみれば、リアクタンスが負になると言うことが私にはわからない。リアクタンスは、絶対値で定義される量だと思い込んでいた。FM変調回路のIDCとALCを間違えた。電界強度を電力比で考えて3dBとしたが、6dBとしなければならなかった。グランドプレーンのアンテナインピーダンスは知らなかった。

法規では、無線設備規則22条の定める指向性アンテナの特性表記に含まれない要素は何かという問題で、給電線からの輻射と答えたら、主輻射方向の利得が正解だった。規則にそう書いてあるならしょうがないが、指向性アンテナの特性に給電線を含めることはないだろうに。アンテナゲインは重要であり、主輻射の方向だけでは片手落ちでしょ。とほほ。

合格通知と従事者免許申請

2015年12月22日に合格通知が届いた。"合格"おめでとうございます、祝福してくれているのは、総務省ではなく、公益財団法人が送ってくれているからだろうか。試験は、総務省が行っているのではないので、この後、受験番号を添えて、総務省に対して従事者免許の交付を申請しなければならない。なんと面倒なことか。

無線従事者免許申請で検索すると、総務省の電波利用ホームページが最初にヒットする。記入例などがあって、一見、親切丁寧に見えるのだが、なかなか悩ませる。申請料を収入印紙で納付しなければならないというのが一つ目の関門。をいをい、オンラインで振り込ませてくれよと思う。日本無線協会やJARDに頼む分には、ゆうちょ限定であってもオンラインで振り込めるのだが、総務省様に納付するには、収入印紙しかない。こんな手続きを自宅で行う時間帯は、夜か、休日なので、郵便局など開いていない。それでコンビニに収入印紙を買いに行く。日本のコンビニは、実にコンビニエントである。ファミマに行くと、しかし、1枚200円しか扱っていないと言う。レジ係が、中国人だったから、君たちは日本の収入印紙なんて知っているのかねと言いそうになったが、逆にすべての買い物を収入印紙で行えそうな国にも思えたので、黙っておいた。ふふ、やっぱりファミマじゃだめだね、向かい側のセブンイレブンに行く。店員は日本人だったが(今や、キチョー人種)、やはり200円のしかないという。それは困る。何が困るかというと、納付金額が1750円だからだ。200円を9枚で1800円にしてもよいが無駄だよね。その上、「過払い承諾(印鑑)」と署名しなければならない。

写真は、インクジェットプリンタで印刷した。受験票と同じものである。だから、替え玉受験を疑われることはない。30x24㎜の小さな写真がスキャンされて、従免に印刷されるらしいが、そんなことしたらとても不鮮明だろう。この従免申請というのは、要するに本人確認と、そのための顔写真の提出なのだ。似たことを最近やりませんでしたか?マイナンバーでも同じように顔写真を提出させられる。窓口に郵送しても良いのだが、JPGファイルをアップロードするやり方も用意されている。マイナンバーの所轄官庁は、総務省ではないのか?

もう一つおかしいのは、総務省の電波利用ページには、申請の送り先が、各地の総合通信局としか記されていないことだ。部局が書かれていない。 良く探すと、「無線通信部 航空海上課」というのが出てくるのだが、苦労した。アマチュア無線課とか、従事者免許課というのはなくて、航空海上課というのは、意外である。さらに、免許状を入れて送ってもらう返信用封筒を入れなければならない。その大きさがわからない。「免許状が入る大きさの封筒」と書かれているが、免許状の大きさがわからない。これも苦労して、定形封筒で良いというのを見つけた。要するにはがきの大きさより小さいらしい。これにいくらの切手を貼るのか?簡易書留が望ましいと書かれていて、430円が答えらしい。結構な金額をまたもや郵便局に支払わなければならない。


   
2級受験料(日本無線協会)   7,452円
 従事者免許申請料(収入印紙)  1,750円
 免許状返送切手  430円
 局免申請料(PayEasy)  2,900円
 局免送付料  520円
無線機保証料 (JARD)  3,000-6,000円